おかしなタイトル! 『フェアトレードのおかしな真実』(英治出版、2013)というタイトルの翻訳本!

『フェアトレードのおかしな真実』(英治出版、2013)というタイトルの翻訳本は、おかしなタイトル!

「アンフェアトレード (不公正貿易)~エシカルビジネス のおかしな真実」

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『フェアトレードのおかしな 真実』

季刊 国際貿易と投資 Summer 2014/No.96http://www.iti.or.jp/ より一部紹介

・・・・・・一般的にエシカル(倫理的)商品に

は、さらに目的に応じて実に多様な
拡がりをみせており、認証制度とし
て歯止めをかけない限り、その「軽
さ」(ライト)のすそ野はある意味で
は無限となりかねない。
こうした点で、日本でエシカル消
費運動が単なるブームとして捉えら
れたり、定義があいまいのまま言葉
が先走ると、フェアトレードもその
中で泥まみれになる恐れもある。

その懸念はすでに起こっている。

その1 つが『フェアトレードのおかしな真実』(英治出版、2013)というタイトルの翻訳本の出版である。
この本の原著タイトルは
『UNFAIR TRADE – The Shocking
Truth Behind ‘Ethical’ Business』で、
あえて訳せば「アンフェアトレード
(不公正貿易)~エシカルビジネス
のおかしな真実」であろう。
本書は企業による世界の不公正な
貿易について現場をルポしたものと
してはなかなか面白く、企業が CSR
経営、環境経営、エシカル経営と広
報している裏では、こんな過酷な実
態があるという世界の現場を案内し
てくれる。しかも軽く読める。
90 年代末頃にブラック企業もの
ですぐれた本が出たが、再びこうし
た企業の告発ものが出てくるのかも
しれないと期待させる 7)。「倫理的な
消費者がお気に入りの製品の出自を
たどることの難しさ」を報告してく
れる本である。フェアトレードを直
接的に批判したものではない。

フェアトレード(認証制度)への批判も
取り上げているが、批判としてはい
ささか的外れなものとなっている。
このように、内容からみても、『フ
ェアトレードのおかしな真実』は誤
ったタイトルであることが分かる。
訳者および出版社は「フェアトレー
ド」はすでにシステムをともなう固
有名詞であることを知らなかったの
だろうかと思わざるをえないタイト
ルである。
しかし、多くの人はこの本を読ま
なくとも、このタイトルの存在を知
れば、フェアトレードには大きな問
題があり、国際的に告発の対象とな
っていると思い込むことになりかね
ない。

そして、エシカル商品のこと
を、イコール「フェアトレード」と
思い込み、エシカル商品への懸念は
同時にフェアトレードへの懸念へと直結することになる。
つまり、日本では今後、「エシカル」
ビジネスや商品は「フェアトレード」
という言葉で言い換える現象が起こ
り始める恐れもあろう。

この本を読んだライターが、この本のみをネタにして一方的にフェアトレードは問
題と主張する報告を、ある一流オンライン・サイトに書いていた。エシ

カルは「フェアトレード」のことだと取り違えた現象の 1 つといえよう。

 

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