12月5日 南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離)を撤廃させた元大統領ネルソン・マンデラさん死去

中日新聞によると

「人の尊厳を踏みにじる制度は憎んでも、白人社会の罪は許した懐の深さがあった」

生まれ育った部族社会では無縁だった人種差別。白人から下等市民として扱われ、居住区も買ってに決められて強制移住させられる。参政権もなく理不尽に逮捕される同胞の姿を大学生になった都会で目の当たりにした。

「何百という屈辱、屈辱が絶え間なく積み重ねられ、制度と闘おうという情熱が育ってきた」

「暴力には暴力で対抗するしかすべはない」と武装闘争への転換を訴え、武装組織を創設。

45歳で終身刑。刑務所で動物以下の扱いを受けても、邪悪なのは人間ではなく制度がそうさせていると思うようになり、白人たちの憎しみは薄れていったという。

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11月2日にウィルあいちで開催した、なごや国際オーガニック映画祭のプレ企画の3本DVD上映のうちの「ファン・デグオン」さんも、思想犯で12~3年の刑務所での拷問をうけながらも、拷問を手がけた人を憎まない。制度がそうさせたと話ていました。

2001『チッソは私であった』の著者、父親を水俣病で狂い死にしたのを幼少の頃見た、緒方正人さんもまたそのようことを言っていた。

最近見た映画*「ハンナ・アーレント」でも、ユダヤ人を収容所へ移送したナチス戦犯アドルフ・アイヒマンは、ただ勤めとして仕事としてこなしただけだと証言。

*映画『ハンナ・アーレント』(2012年、監督マルガレーテ・フォン・トロッタ)。一方の主人公は哲学者ハンナ・アーレント。20世紀最大の哲学者ハイデガーとフッサールに学び、ナチスドイツから逃れてニューヨークに渡ったプリンストン大学教授で、すでに『全体主義の起源』と著者だった。そして、夫のハインリヒ・ブリュッヒャー、盟友メアリー・マッカーシー、ハンス・ヨナス、クルト・ブルーメンフェルトら。もう一人の「主人公」はアドルフ・アイヒマン。ナチスのユダヤ人移送係で、終戦後アルゼンチンに逃亡していたが、イスラエルのモサドに「逮捕」され、イェルサレムで裁判にかけられる。裁判を傍聴したアーレントが何を感じ、受け止め、思索し、そして何を書いたか。後に『イェルサレムのアイヒマン』として出版される裁判傍聴記がどのような反響を呼んだかが中軸となる。アイヒマンが人間離れした悪魔や巨怪ではなく、どこにでもいる「官僚」であって、命令を忠実に実行した役人に過ぎず、その「悪の陳腐さ」こそが問題だとするアーレントの主張は当時はなかなか受け入れられなかった。ニューヨークのユダヤ人コミュニティでは、アーレントがアイヒマンを、従ってナチスドイツを擁護したと誤解され、糾弾されることになる。その過程を追いかけた映画である。』前田朗さんのブログから紹介

世界中のまた親しい人達から背かれながらも、アイヒマンの〈悪の凡庸〉を主張し続けたハンナさんはすごい人だ。夫の支えあればこそのような気もするけれど…。

人はどのようにもなれるのだ…と思った。人が人とも思わない行動した人も、自分を守るためなのか、またそれを受けた人も、人として生きる道をみつけたのか、私にはとても想像のつかない世界だ。今回の新聞の報道でしらなかったマンデラさんのメッセージを知る事ができた。

 

 

 

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