マフザ・パルビンさんと藤崎さん
2017シャプラニール全国キャラバン |
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~もう一つの児童労働~バングラデシュの家事使用人の少女たち~ |
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「羽ばたけ、家事使用人の少女たち |
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~家事使用人という働き方、少女たちの今そして未来は?~」 |
【日時】 |
2017年6月18日(日)13:30~16:30 |
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【講師】 |
マフザ・パルビン氏 |
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シャプラニールダッカ事務所 プログラム・オフィサー |
【場所】 |
名古屋大学 国際開発研究科棟 8F オーディトリアム |
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地下鉄名城線名古屋大学駅歩5分(1番出口より直進、信号手前を右折) |
【参加費】 |
無料(フェアートレードコーヒーを提供します。要マイカップ。) |
【定員】 |
50名 |
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【申込】 |
シャプラニール愛知ネットワーク |
090-9125-8825(裏見) |
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shaplaneer.aich■gmail.com(■は@) |
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シャプラニール全国キャラバン2017
―羽ばたけ!家事使用人の少女たちーの報告
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開会・プログラム説明:裏見登志子
講師・通訳の紹介
講師:マフザ・パルビン シャプラニールダッカ事務所プログラムオフィサー
通訳:藤崎文子 シャプラニール理事
記録:前田昌美
講演は1時間10分程度
① 講演に先立つ挨拶 国際開発学会東海支部 藤川清史先生
藤川先生は国際開発研究科の教授で東海支部の支部長。緑の冊子は学会の説明をするもの。・ボールペンはプレゼント。国連総会の場でブルントラント委員会報告として「持続可能な開発」という言葉が初めて1987年国連文書に出た。このことは画期的なことであるが、現在においてもなかなか「持続可能な開発」は実現・持続しない。
② マフザさん講演・藤崎さん通訳
-シャプラニールとは何か- (通訳の藤崎さんから)
1972年設立の国際協力の団体。シャプラニールとはベンガル語で「睡蓮の家」の意味。バングラデッシュとネパールで活動。いわき市でも活動していた。職員数30数名 南アジアの人々が持っている能力を引き出す活動をしている。今日のプロジェクトの目的は「家事労働の少女たちが自分の人生を歩んでいくことのできるようにする。」活動。この講演は全国キャラバンの一環。シャプラニールでは全国キャラバンとは1983年から行っている。その他、外国の文化・生活を紹介をする活動もしている。
-マザフさんの講演-
・バングラデシュについて
北海道2つ分面積 人口は1億6千万人。ダッカは世界で一番大きい都市、イスラム教徒が人口の9割
今は雨期で9月ごろまで続く、国土の3分の1が洪水で水に覆われるが、洪水が引くと肥沃な土地になる。
義務教育5年生まで無償、70パーセントが義務教育修了する。
経済規模 GDP1385ドル
講師マフザさん、2009年からシャプラニールで働いている。シャプラニールに家事労働に従事する少女支援の活動をしている。自分が14歳の時、同い年のお手伝いさんホリダがいた。家の中の掃除やマフザさんのお母さんの手伝い、家事全般をしていた。マフザさんが学校に行く時、朝ご飯の用意をしマザフさんを学校に送っていった。マザフさんが帰ってきて外で遊んでいるときも、お手伝いのホリダは働いていた。彼女は女の子が勉強することは無駄と言っていて、勉強に全く関心を示さなかった。マフザさんは毎日寝る前にホリダとお話をして楽しい時を過ごしていた。
ある日、ホリダ15歳の時お母さんがきて結婚させるため連れて帰って行った。それからはどうなったのかはわからない。悲しかった。その時から家事労働に従事する少女のために何かできないかと思い始めた。今現在マフザさんは、結婚していて7歳の男の子がいる。
バングラデシュの児童労働320万人(2006年)。児童労働の定義は義務教育を妨げる労働のこと。
2013年の政府の調査では、170万人の児童労働従事者がいるとしている。そのうち42万1千人が家事使用人である。ILOの2007年度の調査では家事使用人のうち80パーセントが女子で、78パーセント14歳未満と報告されている。ILOと政府の調査にはいつも差があり、国の発展を目指している政府の調査はいつも少なめに報告される。理由としては、おそらく政府としては対外的に良いところを見せたいためであろう。私たちの活動から見ると、政府の数字はおかしい。
家事労働者を雇用する立場から見ると、大人ではなく少女を雇う利点はいくつかある。「給与が安い、食事の量少ない、着るものも少なくてすむ、大人に比べて身軽に動ける(高いところに登ったりできる)、大人に比べて言うことを聞く」などである。また雇用主は三食まともに食べられない貧しい家の少女を雇っていることで、いいことをやっているという気持ちがある。悪いことしていると思っている雇用主は皆無であった。
少女たちの親は、教育・経済・家族関係に問題があることも多い。女の子に対して、差別があり「教育を受けさせても結婚するので無駄」と考えている親も多い。このような少女の中には、結婚して夫が浮気をしたり、別の女性と結婚したりすると、保護者がいなくなり村から都会に出ていくことが多い。教育もないので大変厳しい状況に置かれる。
バングラデシュでは農村は仕事がなく、多くの家族が娘を奉公に出す。バングラデシュでは女の子が結婚するとき持参金がいる、結婚式の費用も高い。若ければ若いほど持参金(ダウリー)が少なくて済むので早婚の問題も以前ある。そんな事情から、学校を中退する女の子が多く、教育やスキルがなく家事使用人しか働き口がない。
・バングラデシュの家事労働少女の一日
<サビナのケース>
サビナは毎朝6時に起き、7時前から朝ごはんの支度をし、雇い主の子供を学校へ連れて行く。12時から昼食を作る、その後子供の迎えをし、夕食の準備を6時過ぎから行い仕事は11時ごろまで続く。12時過ぎ就寝。ミスをしたら雇い主からひどく怒られる。週末の休日なしのときも多い。虐待を受けている。たとえば熱いお茶れかけられる。鉄製のヘラを熱したものを押しつけられるなど雇用主からの暴力が頻繁にある。
<アドリ11歳のケース>
雇用主からのひどい暴力で死んでしまったと思われ、ゴミ捨て場に捨られていた。見つけた人が病院に連れて行った。
・シャプラニールの取り組み
ストリートチルドレンの支援2000年開始。ストリートチルドレンは、男の子が大半で女子少ない。その中で家事労働から逃れてきた少女は壮絶な体験をしていることがある。家事労働から逃れてきた少女で、路上でセックスワーカーになる現状も見られる。家事労働の少女の実態は、家庭内の密室で行われているためなかなか表に出てこない。見えない存在の家事労働の女子に支援を開始。
<アプローチ方法>
・雇用主、保護者、・地域住民の意識をかえる必要がある。(社会問題であると意識を持ってもらう)
・潜在的な親たちには家事労働の少女の現状を伝える
・ダッカ市内でヘルプセンターを設けて活動している。そこでは、簡単な算数・文字が書けるように教育を行ったり、縫物・絞り染め仕立てのスキルを学ぶことができる。(具体的には、刺繍・玄関マット・紙細工・ペン立て)縫製研修は3か月間。
・センターではそれ以外にも踊りやゲームまたは歌などを通して同じ年頃の友達ができ、友達に自分の気持ちを伝えることができる。
・雇用主の家を訪問し、少女たちに普段どのようにどのように接しているか確認する。
・現在バングラデシュ国内に、6か所センターがある。2か所は活動を地域住民に任せている。
そこでは少女に対して、基礎教育をおこなっている。ゲーム(ルーレット)を通して保健衛生の知識を学んでいる。料理教室も開催されており、サモサなどスナック作りを学ぶと家でサモサを作るので雇用主は喜ぶ。
センターは少女たちにとっては、ピクニックに行っているような楽しさがあり、喜んでサンタ-に足を運ぶ。
女の子たちが大きくなって、自分でスナックを売ることができると収入源になる。
運動会年は年に一回行われ、少女たちは、学校に通っている子供と同じ体験ができて喜んでいる。
その他、住民グループが研修で、子供の権利を学んだりしている。
<活動の成果>
2006年からの過去3年のセンター利用の実績300人。178名が教育コース(小学校1年2年レベル)を修了し120人が小学校へ編入した。そのうち30人がリーダーとしてセンターの活動補助をしている。
ノミタという女の子は小さいころから教師になりたかった。彼女はセンターで訓練を受け、今はセンターのリーダーとして活躍している。
<雇用主の課題>
女の子にリーチするのが難しい。雇用主が家にいれてくれないので、何度も雇用主の家に足を運ぶ。近所の人と自治体の人と一緒に訪問することがほとんど。雇用主の意識の変えるのは至難の業。
女の子をセンターに行かせることに条件を付けようとするが、センターに来てから女の子たちが様々な変化をしているのを見ると雇用主は軟化する。また、雇用主に学校へ行かせるように言ってもだめ、働かせるために雇っている。NGOと連携し、政府と話し合いをしている。政府には法律を作るようにプレッシャーをかけている。
世論を変えるために、コミュニティーラジオを設置し住民の意識を啓発している。スローガンは「箒ではなく本をください」
<2017年力を入れたいこと>
ショバンバーグ新センターにて、技術研修の種類を増やす。14歳未満の少女を学校へ行かせる。
法律の制定を政府に促す。1年ぐらいかかったが、314世帯 74人の働く女の子が学校に行けるようになった。非常に後ろ向きな自治会長いたが、他のセンターを見て軟化した。それからの協力的な態度は目覚ましいものがあった。
・ルビナ12歳の映像
雇用主は家事労働の少女をスラムで探していた。ルビナは兄の紹介で家事使用人になった。家族関係、姉11歳で結婚、母は学校はお金がかかるから子供たちに教育を受けさせない。ルビナ結婚したくないからいろいろ学びたい。(雇用主女性 撮影許可が出なかった。顔出しだめ)
・スミのケース
雇用主にほぼ毎日殴られていた。泣いている声を聴いて訪問。殴られてほほにあざがあった。それ以降、家を頻繁に訪問した。雇用主から、週に2日センターにいってよいと許可が出た。センターに3時に来た時、今日は何か食べたかと聞いた時、スミはまだ何も食べていないと答えた。
里帰りした時、スミは駅で突然泣きだした。スミは、父にダッカには戻りたくないと言った。父は水を持ってくるからとスミを駅に残し姿を消した。スミは泣く泣く雇い主のところに戻った。
センターで、スミを支援しスミは教育課程を修了した。その後雇い主からの話では、スミは村に帰ったという。スミとは連絡がとれていない、今どこにいるかわからない。
・ルナのケース
9さいからセンターに来た。勉強したいという気持ちが強く、技術訓練にも積極的に参加していた。バッグ作りの技術を学び6200タカの収入を得ることができた。
3時 休憩コーヒータイム
バングラデッシュ文化紹介フローラ・タスリンさんの歌。タスリンさんは、17年前日本に来たとのこと。
ハルモニオンという楽器演奏と歌「母国は誰にとって大切ですか」・
ワークショップ(8人グループでディスカッション)30分間
<感想>
・ショックであった。インタビューで顔映さないのは、うしろめたさがあるから。雇用主の意識が変わらないとだめだと思った。
・家事使用人の問題は非常に根深いので短期・中期・長期でプロジェクトを分けないといけない。
・自治組織を巻き込んでの活動は大変よいと思った。
・教員をしているが、以前児童労働の問題を授業で扱ったとき、生徒が「児童労働の問題は文化の違いだから仕方ない。」と言われ切り返す言葉がなかった。
・バングラデシュでは、貧困の問題は根深い。縫製産業以外は発達していない。一般の人も職を得るのが難しい状況がある。また、貧困問題は、国自体の問題でもある。
<質問>
Q: 家事使用人の子供たちの食事・お金の管理はどうなっているか。
A: スミのケースはフルタイム労働で、雇用主が食事もお金もすべて管理している。給与は親に払われる。
Q: 親が子供を学校に送らない理由はどうしてか。
A: 義務教育はただとはいえ、先生達は普段の授業ではまともに教えず、補習を受けろという。補習は先生達の小遣い稼ぎ。補習は500~1000タカ。また学校に通うための靴・カバンなどのお金を払えない。
Q: 貧困層の数はどのくらいか?
A: 正確に把握するのは難しい。政府は急成長を目指しており、貧しい人は減っていると報告をする。私たちが活動をしている実感としては貧困は減っていない、むしろ貧富の差が大きくなっている。
Q: 親や雇用主を説得するのが難しいと思う。どのくらい拒絶するのか、その対策はどうしているか。
A: 隣人を連れて気軽に訪問するようにしている。自治会の人にネタを提供してもらう。なにかネタがあるとやりとりしやすい。午前中に雇い主の奥さん見つけて「こんにちはあなたのところのお手伝いさんどうですか?」と聞いたりすると、奥さんが「お手伝いが言うこと聞かない。」などと答える。一見ネガティブな情報だがこれを「センターに5か月つれて来て下さい。言うことを聞くようになるから」などキッカケができたこともある。
地域のスタッフでチームを作って活動している。ポイントは「対話し続ける。あきらめない。」
ある例では、7年かけて雇用主を説得し、少女をセンターへ連れて行くことができた。17歳になっていた。そういう意味で、拒絶は少ない。
Q: バングラデシュの女性の地位は?
A: なかなか他国の人には理解が難しいかもしれないが、首相は女性である。国会議員・NGOで活躍する女性が多い。反面、日常生活では女性の地位は低く、例えば結婚するときに、持参金(ダウリ―)がいる。持参金が少ないという理由で、夫の家族に殺される事件が2、3日前に起こった。結婚年齢が上がると持参金が高くなるので、幼いうちに嫁がせたいと親は考えている。
Q: 2つの地域住民のヘルプセンターマネージメントの成功の秘訣は何か。
A: その地域のネットワークからのニーズから、入っていくとよい。また、すでにある自治体にアプローチすると成功する。現在の事業を発展させるために、地元の自治体と連携が必要。活動は、まだまだ点でしかないので、地元の行政との関係を深める必要がある。公務員住宅での活動は区長さんを巻き込み住民をまきこむことができる。もっと進めたい。
Q: センターに行った後、給料が上がることはあるか?
A: 給与の差はないと思う。雇用主によって差がある。給与が全くでないこともある。1年に一回村に帰るとき親に渡せとお金をもらうことがある。
Q: 少女を保護したり守る法律はあるか?
A: 2015年家事使用人の保護権利条約が制定された。ガイドラインができたので提言はあるが罰則がなく強制力がない。法律にすることを目指している。児童労働は労働の最悪の形態。家事労働者の権利から攻める。
Q: 児童労働文化の違いはありますか?
A: 日本の子供たちは両親から家事労働を学び、お手伝いをする。バングラデシュの子供はほとんど家事をしない。家事労働者になってから学ぶので、なかなか役に立たず、虐待の原因にもなる。
Q:「センターに来ることによって知恵をつけて使いにくくなった。」と雇用主から文句は出ないか?
A: 時々おこる。しかし私はそれは良いことだと思う。ただ、センターに少女達を雇用主が送ってくれないと困るので「自分の気持ちを話せるのはよいことだし、お客様にもキチンを対応できる。」と理解してもらう。
Q: マフザさんの家に家事労働の少女はいるか?
A: います44歳の女性。住み込み個室の用意給料はいい。自分の子供の世話をしてくれるので助かる。
-総括・名古屋大学大学院国際開発研究科長 伊東早苗先生-
多くの人が来てくださり、ありがとうございます。普通大学が行う講演にはこんなに人は来ない。市民の方々来てくれたのは意味がある。市民の方とつながりたい。私は昔バングラデシュに住んでいたが、この講演を聴いてずいぶん感覚が鈍くなったと感じたが現場感覚が戻ってきた。ただ、向こうにすんでいると住んでいると家事労働者に関しても普通になってしまう。大変貴重な話であった。日本でもおしんの時代があったし、今でも貧困や虐待もある。
-最後にシャプラニールから-
私たちにできることは何か?「知る・伝える・行動する」こと。具体的には、お金の支援・寄付付き商品の購入が良い例。手仕事の商品は最近売れている。そしてそれは制作者である少女達の励みになる。その他、マンスリーサポーター1日33円。また書き損じのはがきや使わなかったハガキが25枚で料理教室開催やピクニックができる。