5月はフェアトレード月間で日本の各地でイベントが開催されています。愛知県国際協会(AIA)と名古屋をフェアトレード・タウンにしよう会(なふたうん)も共催で2010年から毎年この5月はフェアトレードの企画を開催しています。
5月フェアトレード月間企画講演会
【日時】 2017年5月27日(土)13時半~16時
【内容】 フェアトレードの現場を歩く
「メキシコで《先住民が》カフェオープン」
慶応大学名誉教授 山本純一さん
【場所】 愛知県国際交流協会(中区丸の内)
【参加費】 500円コーヒーお菓子代付き
【申込】 052-961-8746
koryu@aia.pref.aichi.jp
今年はメキシコのサパティスタ運動の研究をしている山本純一さんが(慶応義塾大学名誉教授)講師。
メキシコで500年にも及ぶ支配から立ち上がったゲリラ(サパティスタ)の村と隣接し、武器をもたずに先住民の権利を主張するために闘っている先住民組合から届くコーヒー、そして先住民のひとが自らカフェをオープンした話。
それが生産地にどのような変化をもたらし、 私たちの暮らしとどうつながるのかの話のあとは、フェアトレード関係の書籍も紹介。
フェアトレード店でマヤビニックのメキシコのコーヒーを扱っていますがその育ての親の山本先生のお話を楽しみにしていました。
2014年3月熊本のフェアトレード・タウンの国際会議で初めてお会いしましたが、それから名古屋へ見える時は私が不在と、すれ違いが2度ほどあり、お話をする機会が実現したのが昨年5月でした。
著書「インターネットを武器にした〈ゲリラ〉 反グローバリズムとしてのサパティスタ運動」や「メキシコから世界が見える」を紹介頂き
国内難民として豊である土地で暮らす、しかし貧しいチアパスの人々のコーヒーがフェアトレードで日本へ届いているのでとても身近に感じながら読み、フェアトレードから学ぶことが多く、今さらながらにフェアトレードの奥行きや広がりを感じ、そのつながりでいろいろな人と出会えて嬉しいです。
山本純一さんとメキシコ・ナワット族の民族衣装を着たゆっこりん
先生のブログのある箇所(フェアトレードに通じる)に共感して、
一部『共生』について引用します。
その貧しさや先住の民として虐げられた年月の背景には1992年のアメリカ大陸「発見」500年祭に対する抗議運動にもあるように、
苦渋の歴史のうえにスキーマスクをつけた顔のない〈ゲリラ〉が生まれ、
そのサパティスモの「共生の原理」は、普遍的なヒューマニティ、人間の尊厳であるという。
「尊厳」という価値感情、価値判断は、「権利」とか「平等」という社会的概念と違って、
自然と関係づけられ、尊厳は自然を畏怖、畏敬する感情、価値から生まれる。尊厳とは自然のあり方から人間が教えられたもの……とある。
フェアトレードから、政府からみれば『ゲリラ』と呼ばれるサパティスタのことを初めて知りました。今日はその現場を歩いた山本先生に昨年夏の学生のための夏期集中講座(今年も2日間開催します)に続いてお話を伺いました。高校生も10名くらいの参加が嬉しいし、彼女らが山本さんの講演を聞いてくれたことが嬉しい。
これからの人生でフェアトレードから、世界に視野をむけ、足元の暮らしをみつめ生きることを考える
それが若者ちたちに伝えたいことです。
あまりにも情報があふれて、便利でその中で今の暮らしを考え直すことは若い人達にとってはたやすいことではないと思いますが、それをしなければ幸せにはなれない…そんな思いがします。
以下アンケートの一部紹介
*「フェアトレード活動をするにあたって何が求められるのか」そのことを模索していた日々でしたが、今回山本氏のお話を拝聴し、新たな視点をいただけ、大変勉強になりました。また、「なぜ貧しい人を助けるのか?」という問いかけは、国際協力を目指す自分にとって意義深いものであり、改めて「自立」「対等」「共助」について考えさせていただくきっかけになりました。高校生の方とお話させていただきました。自分が高校生のころはこのようなイベントに参加したことはなかったので、それだけでもすごいと感じ、またこのように若い方が興味をもっていることになんだかうれしく感じました。(20代女性)
*将来経営者になろうと考えていますが、今日はヒントがたくさんいただけました。本当にありがとうございました。いろんな人と夢を共有し、世界を広げることができた。物事を深く考えみんなと議論しあうことが大事しゃないかと感じました。議論することで問題は解決できるんだと思います。いろんな問題と真剣に向かいあいたい。(10代男)
:::::::::::::::::::::::2017年5月27日フェアトレード講座アンケート集計::::::::::::::::::::::::::::::::::
「~フェアトレードの現場を歩く~メキシコで(先住民が)カフェオープン!」
ア ン ケ ー ト 結果
■ 参加者 43名
■ アンケート回収 34名
■ 性別 女性:20名 男性:10名 未回答:4名
■ 年代 10代:12名 20代:5名 30代:1名 40代:7名 50代:1名 60代:1名
未回答:7名
■ 情報提供希望者 21名
講演の感想
・フェアトレードの根本的な仕組みから、貧困、途上国への支援の課題、哲学的なことまで広く知ることができて勉強になった。
・高校生の私にとってファストファッションは身近なものだが、あの安さの裏にどんな労働状況があるのか、売れ残ったものはどうなるのか考えるきっかけになった。
・「なぜ貧しい人を助けるのか?」という問いかけは、国際協力をめざす自分にとって意義深いものであり、改めて「自立」「対等」「共助」について考えるきっかけとなった。
・フェアトレードを通じての人生の考察、自分たちが世界で繋がっている現実の中で、自分たちはどういう生き方を選択するのか、という問いを考えさせられた。
など
■交流タイムについて
・様々な年代の方と接することができ、有意義な時間だった。
・高校生の海外志向が高く、とてもいい刺激をうけた。
・実際にメキシコに行っていた人の話や、大学での話が聞けて楽しかった。将来の参考になるような話がたくさん聞けた。
・いろんな人と夢を共有し、世界を広げることができた。
など
■参加してみて、気づいたことや明日からやってみようと思ったこと
・買い物をするとき、どこでどのように生産され、加工されたか考えるようにしてみたい。
・「無知は暴力」という言葉に刺激され、本のみならず多くの情報収集をし、思考し、それを行動に移していきたい。
・物事を深く考え、みんなと議論し合うことが大事なんじゃないかと感じた。
など
■他に
・今後もこういった会の案内を頂けると嬉しいです。本日はいい機会を下さりありがとうございました。
・問題意識を持って、それを真剣に考えており、それを皆で共有したいということを、AIAの取組として感じ取ることができました。
・大学でフェアトレードサークルに入って活動しています。活動・イベントの連絡をして頂けると嬉しいです!
など
《資料》マヤビニック(Maya Vinic)
1997年のチアパス州アクテアル村虐殺事件を契機に設立されたコーヒーやハチミツの生産者協同組合で、Maya Vinicとは先住民の言語(ツォツィル語)で「マヤの人」という意味。アクテアル村虐殺事件とは、1997年12月22日、サパティスタ紛争のあおりを受け、チアパス州チェナロー区アクテアル村の掘っ立て小屋の教会で先住民ツォツィル族45名が無差別に殺害された事件。犠牲者の大半は、妊婦を含む女性や子供。首謀者はメキシコ政府が支援したと言われる、サパティスタと対立する先住民武装集団で、一説では、サパティスタにもメキシコ政府側にもつかなかった先住民を「見せしめ」のために殺したという。首謀者にコーヒーの協同組合員がいたとのことで、同じ組合に所属していた被害者の親族やそれに同調する人々が独立して、マヤビニックを結成。この事件をきっかけとして、国内外からの支援を受け、フェアトレードを実践、協同組合として焙煎豆の国内販売やカフェを直営するまでに発展している。