インドのオーガニックコットン(OC)生産者団体のサイレシュ・パテル氏を迎えて
9月26日(日)14時~16時 ウィルあいちにて開催した「フェアトレードとオーガニックコットンの話」講演会に29名の参加。
初めにピープルツリーの活動紹介がされ、アグロセルに所属して13年のサイレシュ・パテル氏(35歳)のお話へと画像を見ながら移りました。
パワーポイントで作成された資料により、画像と話とその資料とで参加者はわかりやすくなった一方で、今まで参加した講演会で私は画一化された講座にがっかりもしていました。
でも、今日は45分間位質疑応答の時間ができ、質問も次々と出る一方、それに答えるサイレシュさんの答えの広がりと深さで、より理解する時間ができました。
・コットンの栽培は9カ月かかり、5・6月が種蒔き、12・1・2月が収穫時で3~4回に分けて収穫します。45000家族の小規模農家を支援している内、4000家族がオーガニックコットンの生産者です。平均的土地所有は7エーカーで、誰にも属さない土地は共有化し、牛を飼ったり、果物などの樹を植えるなどの緑化をはかっています。
・麻薬のような化学肥料や農薬を使ったコットン
一度化学肥料を投入すると、薬物を飲んだ時もっと欲しくなる人間のように、もっと欲しくなってしまう。
土1gに1000種類のバクテリアが住んでいるけれど、毎年毎年殺されていく。大地が疲弊していくわけです。当然収穫量は上がらず、天候異変によっては、打撃も大きいうえに、農薬や化学肥料のお金を払わなければならない。自殺に追い込まれる原因です。
オーガニックの畑であれば、天候異変で収穫が落ちようとも、それほど大きくは打撃を受けない。土に力があるから。それに払わなければならない費用も無い。
・自殺者に対して、政府は遺族にお金を出すようになったので、自分さえいなくなれば家族は生きていけると言う現象も起きている。私もコットン畑の農業をしている人が借金を苦に集団自殺という話も聞いた事があるけれど、そうか~政府が援助するからか~、でも死ぬのは怖いし~、だから集団なのかと、妙に納得したような思いでした。
・「土は生きている」と彼は言いました。彼のお父さんも農家の人でした。それゆえに大学でも農業を学んだ人です。GMの種が増えてきていることを憂いていました。GMの種の宣伝を農家の人にしているとのこと。また、農家の人は教育を受けていないので、判断も難しく、知識が無く、字も読めないので、50Kg投入する化学肥料を150Kgまいたりして土にダメージを与えたりする。そんな人のためにアグロセルは相談に乗り、コットンのみならずゴマやカシューナッツ生産の農家の人々を種を蒔く時から、収穫までアドバイスしてゆきます。
・オーガニックコットンの生産は、世界では1%にも満たず、インドでもやっと1%いけるかな~というところ。環境に人体に多大な影響を及ぼす農薬や化学肥料の被害は、教育も受けられない人々を死へ追いやるのです。
東片端にあるカレー屋さん「南洋の父」にてベジタリアン用のカレーを….
ここでも質問は続き
・普通のOCは8%のプレミアムが生産者につくが、フェアトレードのOCは1Kgにつき0.05ユーロのプレミアムが付き、これはコミュニティ全体にお為の活動の為に使う費用になる。
・OCに移行する時に、突然変えると収穫量は一旦は半分くらいまでに落ちるが、6~7年たつとほぼ元の収穫量になる。同じになっても違うのは、無農薬有機栽培の状態が守られるから天候変動による被害が少なく、また農薬や化学肥料に支払わなければならないお金が不用である。
・OCの畑に移行する時に緩やかな変化、つまり有機的な農薬もつかいながら徐々にOC移行して行く方法は、3年ほどで化学的なものは止め、5~6年で復活する。虫をおびき寄せる植物を植え、下にオイルを置くなどして取る方法もあるそうです。
・アグロセルは、エクセルグル―プというNGOが15もある大きな組織の一つで、農薬をおさえながらOCに移行して行く段階で、良心的な価格で農薬も売ります。農家の人は、農薬や化学肥料などを買う時に騙されたり、コットンを売るときには買い叩かれたりしていました。
農薬は、アグロセセルのグループから買います。それは、この大きな団体の始まりは、「緑の革命」がインドにもたらされた時、農薬会社でした。しかし途中でその害がわかり、今のグループに変化してきたそうです。だから農薬会社もあるようです。
・アグロセルと日本の取引先のピープルツリーの取り引きは10%くらいだそうでヨーロッパが中心のようです。ドイツのFLO(フェアトレード認証組織)に認証されているOCを扱っています。
・サイレシュさんは19日に来日、約一週間の日本滞在を終えて明日帰国されます。今回は東京での講演以外は、名古屋だけだったようです。2008年の5月のフェアトレード・デーで来日されて今回で2回目。先回と違うのは、日本の消費者の意識が変わってきたと感想を述べられました。
気持ちのいい、オーガニックコットン。もっとみんなに知ってもらい、フェアトレードのオーガニックコットンを選ぶことで、生産者さん達のコミュニティがよりよくなるようにしたいですね。
サイレシュさんと別れる時に、握手をし、最後には彼が右手を胸に手を置き軽く会釈をして下さったのが印象的でした。素敵な人でした。通訳の高井さんも、とても分かりやすいと参加者のアンケートにありました。通訳は、講演の要です。いい人に付き添って頂き、通訳もお願いできたこと感謝します。
■9月26日アンケートより
昨年から愛用し始めたPeopleTreeの生産者側のお話が聞けて商品に対する見方が深まった。これだけこだわりのあるたくさんの人が関わっている商品だとは知らなかった。これからますます愛用していこうと思います。英語があまりわからないので途中つらかったですが、通訳の方もいたので話の内容が理解できた。生産者側の話を聞くチャンスはめったにないので名古屋で聞けてよかったです。(20代女性)
生産者側の人の生の声を聞く機会は初めてだったので、とても貴重な時間となりました。意外とインドでのOC(オーガニックコットン)の生産率は1%以下と低かったですが、これからに期待したいです。OC製品買います!実際活動報告があったので具体的で良かったです(20代女性)
オーガニックコットンの着心地が本当によいという来場者の方のお話をきいてぜひ買ってみようと思いました。質問したいこともあったけど時間切れで残念です。(20代女性)
今日はありがとうございました。インド農家の人達がアグロセルに変わり、生活や子供の教育、環境、やりがい、いろんなことが豊かになっているのを知れてうれしく思いました。自分もOCを着ますが、やはり一度着るとやめられません!きもちよく!またインドでもOCの普及率が1%以下ときいてショックでしたが、どんどん広がっていくよう周りの人から伝えたいです。(20代女性)
8月に正文館(での講演会)ではじめてフェアトレードの仕組みのような話を聞いていたので、今日のAGROCEL(アグロセル)の具体的な活動が良く理解できて良かったです。生産者の顔が見えないと言うことは本当に恐ろしいことなのかもしれないと考えさせられました。フェアトレード生産者女性の話も聞いてみたくなりました。高井さんの通訳がわかりやすかったです(40代女性)
PeopleTreeやアグロセルのとりくみや、OCをとりまいているいろんな話を聞くことが出来てよかった。特にアグロセルの具体的な活動風景だったり、写真がありイメージしやすかった。いろんな質問があったことでプログラムにない細かなことも聞けて有意義でした。
支援によって農家の人びとの生活の様子が具体的にどのように変わっていったのか実際の声をもう少し聞けると良かった(20代女性)
とても貴重なお話を聞かせていただいてありがとうございました。農薬が与える影響が人体だけでなく土質に及ぶことは知っていましたが、ドラッグのような作用があることは初めて知りました。有機の栽培は農作物だけでなく人の生活にも同じことが言えると思っています。中身のある暮らしが未来を帰ると思います。(30代)
とても的確でわかりやすい通訳でした。
Speakerの方の知識の深さが素晴らしかった。
ポインター使って欲しい。スクリーンがもう少し鮮明に見えると良かった。(30代女性)
プレミアムの使い道を具体的に理解できた。
資料の文字が小さすぎて読めない。(50代男性)
疑問が解けてよかった。現地にいけるといいですね。「農業と水の利用の仕方」についてもっと知りたいですね、まだ農家の実態が不明なので。製品になったものがどんないいかという話は苦手です。(60代男性)
農業に興味がある人にはいいかなと思った(20代女性)
オーガニックコットンはフェアトレードのシステムを通さなければ認知並びに商品売買ができないのか?フェアトレードはトレードの基本だと思います。(20代男性)
セイレシュさんのお話をちょうど良い長さでうまく通訳していただきました。オーガニックコットンの話を初めて聴き驚くことばかりでした。(40代女性)
大阪でフェアトレードショップ「エスペーロ」自営しています。名古屋をフェアトレードタウンにしようと言う運動すごいですね。がんばってください。
実際現地で戦っている人の話を聞けたのは良かった。でも目新しいことがなかったという気がします。インド全体でOC1%というのはちょっとがっかりした。これから広がることを期待して…(50代女性)
綿(コットン)の選別や現物があって手触り等体験できることを期待していたが、今日は残念でした。(70代女性)
現地で活動している人のお話しを名まで聞けることができてとても貴重であり勉強になります。ありがとうございました。もう少し質疑応答の時間があっても…(20代女性)
活動の内容がよくわかりました。(40代男性)
農民の自立支援、子どもたちの教育機会確保と言う点で貴重な活動である。(50代男性)
質問の内容がよく勉強になった。(30代女性)
私は平凡な主婦で起業しているわけでなし自分の知識欲を満たしたくて来ました。来てよかったです。フェアトレードにインドで携わっている方の言葉なんて、生活していて聴く機会なんかないので。自殺する人が多い話がショックでした。何も知らなかった…私も下着はオーガニックコットンです。理由なくかゆくなるかゆみから抜け出せました。
質問に対して真摯に答えていただいているところが嬉しかった。(40代女性)
フェアトレード関連のセミナーで現地の方のお話があったのは貴重でした。ありがとうございました。個人的にはもっとつっこんだ質問をしたかったと思います。フェアトレードが始まって10数年、消費者のレベルも上がってきているでしょう。中級以上の消費者向けのイベントを希望します。(30代男性)