長坂寿久 編著 「日本のフェアトレード」世界を変える希望の貿易 書籍紹介

日本のFTs
一ページめを開くと………….

『はじめに
 例えば、一枚のセーターを選ぶ。あなたはどんなセーターを着たいだろうか?あなただけのためにこころをこめて編まれたセーターなら、それは特別のものであり、どんな製品も太刀打ちできない。では、購入するとしたらどんなセーターを選ぶだろうか? 色、デザイン、素材、風合い、ブランド、そして価格…….。生産国が気になる人もいるだろうか? でも、通常の店舗ではそれ以上のことは分からない。

もし、そのセーターを作った人の顔を思い浮かべられるとしたら、一針一針に込めた思いを知ることができたら、それはとても心弾むことではないだろうか。例えば、ネパールのある女性が、編み物を一から学び、やがて素敵なセーターを編み上げる技術を身につけ、セーターを編んで収入を手にするようになり、彼女の子どもが学校に行けるようになり、自信と誇りを持って生きていくようになった。

そんな社会の中で、一つの流れがつくられている。それがフェアトレードである。
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フェアトレードでは、開発途上国の生産者と先進国の消費者とが対等なパートナーシップ(協働関係)を結んで直接取り引きをする。収益だけを目的とした従来の貿易とは異なり、生産、流通、消費に関わるすべての人に「人間らしさ」をもたらし、地球環境と生態系を慈しみ守る視点に立った、「オルタナティブ・トレード(新しいもう一つの貿易)」を追求していく。

そんなセーターが、あなたの体を冬の寒さから守ってくれるのだとしたら、そこにはお金だけではない測れない限りない価値があり、人と人のつながりを感じることができるに違いない。

フェアトレードの商品には、どれにも物語がある。世界中からすべての贅沢品を取り入れるようになった日本の私たちにとって、これからは一つ一つの人間の物語に触れることができる商品を手にすること、それこそが本当の幸せではないだろうか?

日本で何気なく暮らしていると、すべての商品はまるで最初からお店の棚に並んでいたような錯覚にとらわれることがある。作り手と買い手はいつのまにか分断され、一つの商品にどんな物語があるのかを考えることもなくなっている。安くて気に入った商品を購入することが、知らないうちに誰かの苦しみとつながっているのかもしれないのに、そんな可能性にさえ思い至らなくなっている。』

こんな暖かいメッセージではじまる書籍「日本のフェアトレード」は、フェアトレードってなんだろう?と思っている人の手に取って読んで欲しい本です。フェアトレードの定義、活動内容、市場、国際的視点からの報告、日本におけるフェアトレードの活動内容も具体的に紹介されています。(2300円+税 風”sにあります)

★5月15日(土)世界のフェアトレード・デー参加企画「フェアトレードとフォルクローレ」での第一部講演を長坂先生にお願いしています。
 やさしく、そしてぐいぐいフェアトレードの真髄に入っていけるようお話をして頂きます。 ≪実行委員募集中!!一緒に盛り上げていきませんか!≫

長坂寿久プロフィール:神奈川県生まれ。拓殖大学国際学部教授。
専門は、国際政治学、国際比較地域研究。明治大学卒業後、現日本貿易振興機構(ジェトロ)入会。シドニー、ニューヨーク、アムステルダムに駐在。1999年から現職。ACE(児童労働に反対するNGO)顧問。財団法人国際貿易投資研究所客員研究員。映画評論家。
特定非営利活動法人ファミリーハウス前理事長。「日本のフェアトレード」「世界と日本のフェアトレード市場」著者

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