バングラデシュ ドキュメンタリー映画「衣料品産業で働く女性たち」 5月29日名古屋にて初上映
毎日新聞4月13日朝刊
最貧国バングラ 衣料品輸出躍進 新「世界の工場」
低賃金が生む「格安」
スウェーデンのカジュアル衣料ブランド「H&M」・ユニクロ・イトーヨーカ堂と名前が連なる。
バングラデシュを制するものが衣料市場を制すと掲載されていましたが、劣悪な環境に置かれたままの女性達のことにはどうなのだろうか?
バングラデシュの映画監督タンヴィール・モカメルが描くドキュメンタリー映画「衣料品産業で働く女性たち」が週刊金曜日に紹介されていました。一部紹介します。
「外貨の稼ぎ手として国を支えながら、劣悪な労働環境に置かれたままの女性たち。彼女たちの敬意とともに、産業が内包する問題構造をあぶりだしたかった」と語る監督は、「北」のバイヤーによるコスト減圧力と納期圧縮、工場法や労働法違反、最低賃金引き上げを求める労働組合、追い詰められた労働者による工場襲撃事件の多発、政府や経営者団体の責任などを描きだしていく。そして、代替手段のひとつに示すのがフェアトレード(公正貿易)だ。 週刊金曜日より。
【この映画の伝えるもの】
あなたの洋服箪笥のなかには、バングラデシュ製のGパンやTシャツが吊るさがっているのではないでしょうか。バングラデシュは、いまや世界に名だたる衣料品の貿易国です。1970年代初頭にゼロからスタートし、現在では数十億ドル規模の産業になるまで発展しています。約200万人を雇用し、その85%が女性です。1,000万人にいたる人々の生活がこの産業で支えられているといわれています。
このすさまじい成長ぶりは、1974年の繊維製品の国際貿易に関する取り決め(多角的繊維協定:Multi-Fiber Agreement)によって可能になりました。この取り決めにより、旧来の生産国よりも新興の生産国の産業育成が保護されるようになったのです。通貨流通量だけでみると、繊維産業はバングラデシュの最大の輸出産業であるばかりでなく、輸出所得のじつに76%を占めるものです。
しかし、明るい話だけではありません。衣料工場での火災や崩壊事故による死者の数は、これまでに3000人にのぼっています。賃金はもっとも低い水準で、賃金、保健、安全面等、労働者の不平不満は絶えません。
2006年5-6月、労働者の不満は暴動となって建物等の損害をもたらし、死者も出ました。内務省治安機関が出動する事態となり、産業全体に警鐘を鳴らす結果となりました。
西欧の消費者のあいだでの意識喚起も進み、「スウェットショップ」に関する理解は浸透しつつあります。小売業者には「倫理的貿易」の実践が求められるようになり、工場が国内外の労働規準を遵守していることが要請されています。
ベンガル地域は、17-18世紀にかけて、繊維産業で栄えたところです。昨今の産業の興隆を契機に、将来に向けて持続的かつ国際貿易の新しい規範に耐えうるような産業形成ができるのか、このフィルムは問いかけています。
★2月5日の当ブログ ダッカ(バングラデシュ)の衣料品産業労働者を襲った大火災 へ