ノット・フォー・セール・ジャパン ニュース vol. 44より

日本における人身売買ともいえる内容に無関心ではいられないと思う。世界にあることは日本でもありうる。

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ノット・フォー・セール・ジャパン  ニュース  vol. 44
Not For Sale Japan News
2015年10 月9 日(金)

“I am not for sale.
You are not for sale.
No one should be for sale.”
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NFSJ News 読者の皆さまへ
(To English readers: I am sorry this article is not translated into English yet. It is a report of a seminar Yamaoka attended two weeks ago, regarding the trafficked women’s cases in the pornography (“adult videos”) industry. I am hoping to translate or at least summarize it into English myself someday, or, hoping someone might offer to do so as a volunteer. )

9月26日に行われた、AV出演被害に遭っている女性たちについての勉強会に参加し、報告を書きました。私たちはこのような被害も人身取引の一種であると考えています。既にFacebookでは公開している記事ですが、多くの方に知っていただきたいと思いますので、こちらでも掲載します。なお、同内容のセミナーが11月11日に横浜で行われます。そのイベント情報も末尾に再掲しますので、合わせてご覧ください。
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AV出演被害に遭っている女性たちの叫び

日本にはアダルトビデオ(AV=ポルノ映像)が氾濫しているが、その制作現場のことは闇に包まれている。だがAVショップに並ぶ過激なタイトルや表紙写真を見れば、控えめに言っても、喜んで出演している女性ばかりではないだろうことは容易に想像がつく。

2015年9月末、AVへの出演を拒否した女性に対して、プロダクション会社が違約金2460万円の支払いを請求するというとんでもない裁判に対して、東京地裁が会社側の請求を棄却するという判決を出し、確定した。 (伊藤和子弁護士による解説はこちら http://bylines.news.yahoo.co.jp/itokazuko/20151001-00049989/

ちょうど時を同じくして、9月26日(土)に「性と健康を考える女性専門家の会」の勉強会、「アダルトビデオ製作に巻き込まれた被害女性たちの悲鳴」が、上記裁判の当事者である《PAPS(ポルノ被害と性暴力を考える会)》の宮本節子氏、金尻カズナ氏を講師に行われた。以下、その勉強会の参加レポートを記す。

若い女性が騙されてアダルトビデオに出演させられる被害が後を絶たない。いや今までもかなりあったのだが、ようやくここに来て、PAPSや《人身取引被害者サポートセンター・ライトハウス》がこの問題の相談事業に乗り出し、それが社会で認知され、相談件数が増えてきたことによって可視化されてきたのかもしれない。

いずれにせよ、相談件数はこれまで3年の合計より、今年9か月の方が多いぐらいだそうだ。これまでに合計90件以上の相談を扱ってきた金尻さんが、典型的な事例をいくつか話してくれた。内容については、ぜひ、こちらも参考にしてほしい。https://www.paps-jp.org/aboutus/coerce/

以下、今回このセミナーに参加して初めて知ったこと、あらためて認識させられたことを挙げてみる。

(1)コンビニの成人向け雑誌にはアダルトコンテンツのDVDも入っている。

(2)街で「芸能モデル」事務所と称するスカウトに声をかけられて最初は断っても、しつこく言ってくる。根負けして話だけ聞くことにすると、喫茶店などで分厚いファイルを見せられる。たくさんのモデルを抱える事務所であることを信じさせる作戦。

(3)最初は「とにかくまず、写真だけ撮らせてよ」と言って撮影場所に連れていかれる。そこでまず身分証明書(学生証や保険証)のコピーを取られる。これが後に脅迫のネタになってくる。

(4)根負けして撮影場所までついて行ってしまうと、「ここまで来たんだから、脱いでもらわないと返さない」とすごまれる。最初は私服のままの撮影が、徐々に脱がされ、下着や水着に。「仕事は選べる」などと言われ、半ば強制的に契約書にサインをさせられる。

(5)AVへの出演を迫られ、「親や友達に知られたら困るから嫌だ」と言うと、「年間何万本も製品が出てるんだからバレるわけない」と言われる。「未経験だから無理」と言うと、「良かったね、プロとできるよ」。などと、断る理由を一つひとつつぶされていく。

(6)どうしても嫌だと言い張り、「それなら解約手続きに来るように」と呼び出されて事務所に行くと、その場でレイプされ、その様子をビデオに撮られてしまう。それ以降は怖くて抵抗ができなくなる。

(7)男性の被害もある。相談件数全体の5~10%は男性が被害者。男性の場合も「メンズモデル」にならないか、という誘いでAV(同性との性行為)に出演させられる。特に未成年の場合は家出をしていると稼ぐ手段が限られるので、このような誘いに乗るしかない。

(8)芸能事務所に所属することになり、事務所持ちで歌やダンスのレッスンを受けたりマンションを借りたりすると、それが「前借金」のようになり、後で脅迫の種になる。

(9)中には、「素人モデルをコスプレさせるテレビの深夜番組」という触れ込みで街で声をかける例もある。ロケバスで着替えさせられバッグも別のところに置いたまま徐々に脱がされると、途中で逃げ出すこともできなくなる。

(10)後から警察に訴えても、物的証拠がないとなかなか動いてくれない。

(11)AVプロダクションの人たちは、決してヤクザっぽくなく普通の人たちで、ホームページも特に怪しくないので、つい信用してしまう。

(12)AV出演は、職安法や労働者派遣法の「公衆道徳上の有害危険業務」に当たるので、本来は違法。だが、これがなかなか適用されない。詐欺罪、脅迫罪、強要罪、強姦罪、強制わいせつ罪などは「激しく抵抗したか」など要件が厳しくて立件が難しい。

(13)このようなAV出演強要のケースは、悪徳貸金業に近い。昔は契約を結んだ高利貸しは民事的に合法と見なされていたが、「そもそも返せないような借金をさせる方が悪い」という市民の活動によって可視化されてきた。AV出演についても、同様に見方を変えていかなくてはならない。

(14)ブログなどで楽しそうに仕事をしているように見えるAV女優さんも、実は裏では「死にたい」と思っていて相談してきたりしている。

(15)弁護士費用は原則、法テラスを使うが、それで出る費用は弁護士にとっては雑費にしかならない。場合によってはライトハウスが費用負担する。

(16)「契約書」の作成には当然、弁護士が関わっている。女性の人権侵害を平気で
行うような弁護士がいるということ。

(17)契約書は通常、双方が保管するものだが、女性は自分がサインした契約書を持っていない(渡されない)場合が多いので、相談されたときにその入手から始めなければならない。

(18)実際に性行為が行われる前提なのに、相手の男性の性感染症についてなどの「品質保証」は無い。女性は撮影によって性感染症にかかっても妊娠しても、自己責任になる。

(19)支援している側は今、いっぱいいっぱいの状態。92件目だが3件目の相談者の裁判がようやく動いているところ。

(20)スカウトは人を見る目が鋭く、実に巧妙に誘ってくる。10代20代の女性が一人で太刀打ちできる相手ではない。だから、まずは声をかけられないことが大事。迷ったらすぐに相談すること。

(21)AV出演被害は被害女性の問題ではなく、AVを視聴する需要者の問題。需要の問題を国民的な議論にしていくべき。ぜひ皆さんに考えてほしい。

(22)プロダクションは東京が多く、地方都市(仙台、福岡など)のスカウト事務所からも送り込まれるという流れがある。大阪には制作会社もある。地方からの場合、交通費をプロダクションに出してもらうと、それが後に借金となって脅迫の種になることも。

(23)渋谷や新宿にはAV制作会社がたくさんあるが、地元の人が被害に遭っているわけではない。むしろ町のイメージダウンにつながりかねないので、地元の人はあえて問題視しない。そのために可視化できず問題解決に向かわない、という側面もある。

(24)地方議会に陳情を出して採択されれば、法律改正のための要望書を地方議会から国へ出すことができる。陳情は一人でも出せるので、そのような形で国政に働きかけることもできる。(参加者の地方議会議員さんからの提案)

(25)支援者は今はスーパーバイザー2名、相談支援者10名の体制でやっているが、相談支援はメンタルも痛めつけられる仕事。相談者からの細い細い糸(SOS)をつなぎとめることに疲労困憊している状態。ぜひ支援に加わってほしい。

被害女性(男性)から日々直接相談を受けているお二人から、本当に生々しい話を聞き、胸が痛んだ。と同時に、これは日本でもっともっと大きく取り上げられるべき残虐な人権侵害であり、「人身取引」であるということを強く感じた。人身取引の構成要件である、騙し、脅迫、暴力、不当な借金、などの手段による強制。半ば監禁状態でしばりつけられて意に反する労働をさせられて、搾取される…これは、人身取引そのものだ。

今までもこのような事例はあったけれど、声を上げられず泣き寝入りしてきた女性が大半であり、それがPAPS、ライトハウス、そして支援に当たる弁護士さんたちの献身的な活動のおかげで、相談し抜け出すことができる女性が増えてきた。まさに可視化されてきたのだと思う。

私自身、相談事業に支援者として加わることを将来的に考えなくは無いが、今はとにかくこの事実を、これから話をする若い女性(男性)たちに、声を大にして伝えていきたいと思う。

そしてもう一方の「需要者」側の問題をどう解決していくべきなのか、今一度海外の事
例などをもとに、団体としても真剣に考えていきたい。

このレポートが少しでも多くの方に届き、AV業界の持つ闇の部分について関心を持ってもらえればと願っている。

2015年10月3日
ノット・フォー・セール・ジャパン  山岡 万里子

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以下、前号でもお伝えしましたが、同内容のセミナーのお知らせです。

11月11日(水)14:00~16:00
「どう守るか 性の商品化と若年女性の被害~児童ポルノからAV被害まで~」

「かわいいね、トップモデルになれるよ!」
「コスプレの服を着て撮影するだけの簡単な仕事だよ」
アイドルやモデルの仕事だと思い、勧誘に応じると、学生証や身分証明書を出させられ、よくわからない契約書にサインをさせられた―
それはAVの撮影契約で、業者(加害者)は契約をたてに性的な露出や行為を強要して撮影し、DVDやインターネットで販売・頒布する―
被害者は恥ずかしくて誰にも相談できず、被害が重なってゆく―
こんな事件が多発しています。

加害者の甘い言葉と脅しは少女や若い女性が自分で対抗するのは難しいもので、誰でも被害に遭う可能性があります。しかし、経済的に困窮していたり、知的障がいがある女性は特に被害に遭いやすい傾向にあります。

これまで、90件のAV被害の相談を受けてきた支援員より、少女と女性たちの性が今脅かされている現状を伝えます。第1部では基本的な視点をもとにし、第2部では実際に対応してきた相談事例をもとにして、何が問題で、支援者として女性たちをどのように守っていけるのか、一緒に考えます。

第1部 14:00~14:30「性の商品化とポルノ被害」
講師●宮本節子(PAPS代表世話人、フリーソーシャルワーカー)
1943年生まれ。知的障害者、精神障害者、貧困、性暴力被害者を中心対象者とするフリーソーシャルワーカー。単著「地域に拓かれた施設作り」(全国社会福祉協議会)、共著「証言 現代の性暴力とポルノ被害」(東京都社会福祉協議会)、共著「社会福祉政策とフェミニズム」(ミネルヴァ書房)、共著「森美術館問題と性暴力表現」(不磨書房)、共著「婦人保護施設と売春・貧困・DV問題」(明石書店)、単著「ソーシャルワーカーという仕事」(筑摩書房)

第2部 14:30~16:00 「AV強制出演の手口と現状ー相談支援の現場から」
講師●金尻カズナ(PAPS相談員・人身取引被害者サポートセンターライトハウス被害者支援チーフ)

もともとはパソコンのシステムエンジニア。2003年より、ポルノ被害の深刻さを社会に訴えるために社会活動を始め、セクシュアリティをめぐるさまざまな問題について取り組む。その中で、多くの女性や子どもたち、時には男性ですら、性産業によって心身に深い傷を負いながらも、被害を訴えることができない現実が見えてきた。2009年からはポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS)で、2015年からはNPO法人 人身取引被害者サポートセンターライトハウスの被害者支援チーフとして、人身取引被害者の支援活動に従事。

開催日     開催時間
11月11日 (水)      14:00 ~ 16:00

講師: 宮本節子、金尻カズナ 他PAPS(ポルノ被害と性暴力を考える会)メンバー
対象:直接子どもや女性の支援に携わっている人や、このテーマに関心のある人
定員:50人
参加費 1,000円

共催等PAPS(ポルノ被害と性暴力を考える会)

受付開始:10月01日 (木) 9:00
受付形式:先着順
申込方法:FAX 03-6304-2564(PAPS ポルノ被害と性暴力を考える会 事務局)
Eメールpaps@paps-jp.org (PAPS ポルノ被害と性暴力を考える会 事務局)

会場:フォーラム(男女共同参画センター横浜)横浜市戸塚区上倉田町 435-1
会場への交通手段: JR・横浜市営地下鉄「戸塚」駅西口下車 徒歩5分

保育:1歳6ヵ月~未就学の子どもが対象です。有料、4日前までに要予約、先着順。※保育料の免除あり(必要条件、手続きあり)
保育の申込先:フォーラム子どもの部屋: 045-862-4750 (9:00~17:00 日曜・祝日・第4木曜を除く)

以上

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ノット・フォー・セール・ジャパン
Not For Sale Japan
japan@notforsalecampaign.org

〒180-0022
東京都武蔵野市境1-3-4-105 武蔵野境郵便局留め
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当座(”toza” checking account)0694840 ノットフォーセールジャパン(NFSJ)

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