2014後期なごや環境大学講座ESDカフェ  2014.10.18  ウイルあいち

2014後期なごや環境大学講座ESDカフェ  2014.10.18  ウイルあいち

タイトル 持続可能な社会・地域を生きるために <都市と農山村をむすぶ>

講師 岐阜県立森林文化アカデミー教授 嵯峨創平氏

毎回、フェアトレードのコーヒーや紅茶Timeは、マイカップ持参。フェアトレードのお菓子もつまみながら。

★出前は、民家カフェ 白壁もやい「風の家」より

岐阜県下呂市馬瀬地域において「人と自然のふれあい調査」をテーマに「ふれあいマップの作成(地域の人がどのように自然と触れ合ってきたかを聞き書き)」などを行い、「里山ミュージアム」を建設し、将来構想として「さとやま生活博物館」の建設を目的にした活動の紹介をおこない、都市と農山村をむすぶ持続可能な社会・地域を生きるために何が必要かをESDカフェ参加者と共に考えてみる機会とした。なお、このような考え方はフランスでのこころみ地方政府と地域が「住民憲章」を制定し、地方自治を重視し、持続可能な発展を目指す公園管理の創出を可能にしたことを参考にし、下呂市役所と連携して活動を行っている。

Ⅰ.講義の要点

①「人と自然のふれあい調査の先行例」宮崎県綾町の「人と自然のふれあい調査」(地域の人は昔から自然とどのように触れあってきたか)結果をもとにしたイラストマップを作成し、ふれあいツアーをおこなっている

②馬瀬里山ミュージアム基礎調査として資源の把握調査【①自然の現状…里山・風景林・巨木・魚付き保全林)②集落での里山に関する取組(聞き書き)③既存の事業の現状(里山の利用状況)④文化的側面)】をおこなった。

③資源把握調査結果をもとに「ふれあいマップ」【もぞうし版(情報共有やアイデアだしの道具として有効)・デジタル版(webサイトや携帯端末と連動した案内システムへの展開)・イラスト版(持ち歩ける使いやすさ)の3種類】を作成した。

④「さとやま生活博物館」の将来構想 ※平成26年度から「地域おこし協力隊員」着任

○教育「ふれあいマップ」を活用した教育旅行 ○展示「里山の暮らし」を見せる環境整備 ○店舗「景観+食文化」でおもてなし ○アーティスト創作拠点、田舎暮らしお試し移住者受け入れ ※古民家、使われない共同施設の改修→店舗、ゲストハウスに利用滞在(アーティスト創作拠点・田舎暮らしお試し移住者受け入れなど)】

○東海サポ人ネット-若者支援(3年間) 「半農半Xで田舎を楽しむ」(塩見直紀氏提案)

○コミュニティ・ファシリテーション(アジアの農村開発との経験交流)

・対話型ファシリテーション、PETA(フィ  リピン)即興演劇ワークショップ

・「問題の当事者と語る」を原則、伝統知を現代に生かす

○里山インキュベーター構想―農山村の起業家育成拠点を創る

古民家リノベーション事業、森林アカデミーの資源投入、愛知学院大学「地域連携センター」との協働

⑤都市と農山村の持続可能な関係再構築の可能性

1)農山村が持続可能だった頃は都市との物質循環・実態経済の時代

2)農山村が持続不可能な時代…農山村の「限界集落」化、グローバル経済競争に直面する農林産物、定常型社会への質的転換の可能性(現状維持または縮小の社会構成の中で時間の概念を変える必要がある)は、経済の時間(効率性を追求しない生活)・コミュニティの時間・自然の時間の分野で農山村での安全安心の発見に左右される。

Ⅱ.受講者との対話

①    馬瀬地域が調査対象に選ばれた理由…偶然(日本で実践されているのは馬瀬地域のみ)

②エネルギー転換社会との関連…薪から石炭、石油へなどのエネルギー変換と人口減少

社会にあって農山村は切り捨てられていく社会を難着陸させる方法はあるのか

④3・11以降、人々はこれまでのシステム(社会、経済等)に不安を覚えた。Exf.自給自足

の面から考えると、都会はエネルギー・食糧問題を含めて課題が多い。しかし、コミュ

ニティに根ざした場所が大切であるという意識が芽生え始めた。また、グローバル経済

のわきに、安全弁的なものを残しておく必要性に気づいた。

⑤エコミュージアムは楽しさ、なつかしさ、美しさという原体験を味わうことができる。

配布資料より要約 (なごや環境サポーターネットワークより)

 

①    ECOM 森良「都市農村交流の大運動を起そう!」(「COM」2014.8月号)

・地域再生戦略の手がかり→FECの地域自給圏をつくる F-Food食  E-Energyエネルギー  C-Care助け合い  ・コミュニティエンパワーメント協会構想―都市・農村・漁村交流により、町でも村でも持続可能な地域をつくる。

 

②    内山節 視座「地域主権の確立を」(中日新聞2014.10.5)

戦後日本は国のGDPでは大きな発展を遂げたが、農村や地方都市を衰退させ大都市でも孤立、不安定化を増やした。とすれば、これまでと同質の経済を発展させようとする発想では解決する方法にはならない。これまでの延長線ではないどんな社会づくりをし、いかに人と人や人と自然が結びあっていったら持続可能な地域ができるのかを考えることである。また、戦後の経済と行政のあり方が地域を衰退させたとすれば、地域の人々の力を結集できる地域主権を確立することである。

 

③    吉見俊哉 社会時評「地方創生」(中日新聞2014.9.18)

地方創生が内包するのは、百年後の未来という時間軸であるはずだ。東京は今、6年後の五輪開催にわく。だが、半世紀前の五輪後に生じたのは巨大な人口の東京集中だった。もし、同じ流れが再び生じたなら、地方は創生どころか完全に消滅する。そんな未来を回避するために、地方と東京を同時に質的に転換させていく必要がある。

(記録 太田立男、牧宏)

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