マヤビニック
メキシコ マヤビニックコーヒー育ての親 山本純一さんを5月9日に囲んでお話を伺いました。熊本のフェアトレード国際会議で初めてお会いしてから2度ほど名古屋に行くから会いましょうと言ってくださっても、1回目はインドネシアで2回目は四日市で講演と動かせない事情がありましたが、今回こそ!とスタッフ3人とてるこさんをお誘いしてみんなで勉強しました。
「サパティスタ」研究からフェアトレード・コーヒーの日本への輸入が始まったいきさつを知り、反グローバルリズムとしてのサパティスタ運動に興味をもち、会う当日の朝山本さんのブログを20数枚印刷してにわか勉強。現在山本さん著2冊の本読み始めています。
慶応義塾名誉教授 山本純一さん
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フェアトレード・ショップオゾンの杉本てるこさんから記録メモを頂きましたのでここに報告します。
2016年5月9日山本純一先生勉強会
場所 金山 ANA クラウン ホテル 1F喫茶店
時間 10:00~12:00
参加 先生含め6名
・8日の垂井町のFTフェスで、町長挨拶、課題は議会の決議、市民の活動必須
地元民にうさんくさく思われない努力が大切
・本の紹介
山本純一著作『メキシコから世界が見える』
慶応大学出版会『ラテンアメリカ出会いのかたち』の
1章エコノミストからアクティビストへ 山本執筆
★Z質問「FTをどう伝えたらいいでしょうか?」
A.「情は人の為ならず」と学生にわかりやすい言葉で言っています。
人にかけた情は自分にやがてめぐって来るという意味から、
今では情をかけるとその人の為にならないと理解する人がいますが、FTは両方の意味があると僕は思っています。
A, 三方よし、と言うこともできるでしょう。
売り手良し、買い手良し、世間(世界)良し、と。一般的に使われている言葉で語ればいいと思います。みんながハッピーになればいいですね。
★T質問「ゲリラの研究を始められたのはなぜですか?」
A.インターネットを武器にしたゲリラ・・・
昨日垂井町で神田さんが、1492年10月12日は何の日でしょう?と会場で問われました。
わかりますか?それはコロンブスが新大陸を発見したコロンブスデーです。
でもその以前から先住民の人たちは住んでいたのだからおかしな話です。
メキシコは500年間虐げられてきて、だから声を出して闘ってきました。
1994年1月サパティスタ国民解放軍が武装蜂起しますが、副司令官でアジテーターのうまい
マルコスは「覆面した方がみんなが見るでしょう」と言っていました。
(武力よりも?)一番は言葉に力があるのです。
私は「大地の学校」を日本で創りたい。
お互いのパッションが対話のベースだし、そこには学び合いがあります。
★T質問「先生の言われたひょうたんから駒とはどういうことでしょう?」
A.メキシコは内戦状態になり、そこでは国内難民が出てしまったのです。
解放の神学派の神父たちは難民をなんとか助けたいと・・・・
その折、私に2001年か2002年かなアメリカ人が企画した現地のスタディツアーに参加し、
その後、コーヒー生産者組合の代表からメールが来たのです。
内容は、コーヒーの販売を手伝ってほしいと。
この背景には、1982年にアメリカがコーヒー協定を自由化にしたので、生産者は困っていた。
そこに手をさしのべたのがヨーロッパのNGOで『フェアトレードの冒険』の著者フランツ・バン・デル・フォフらです。
彼は、貧しき者に手をさしのべる解放の神学の人でメキシコに渡ったオランダ出身の神父でした。
★A質問「マヤビニックの生産者の構成は?」
A.役員会として4役。会長、書記、財務、監査
他に業務には英語ができる人が必要で、白人が顧問と会計がいます。
最高決定機関は組合員の総会です。
生産者の言語は、ツォツィル語で国はポルトガル語です。
生産者はほとんど先住民です。
国際社会に売るには英語ができることが必要です。
現在の課題は土地問題。人口増加により土地不足。
かっては、組合にこれまでより多くのお金が入ることで、汚職や分裂もありました。
経営の未熟もあってのことでした。
イエズス会?の支援。
- 近年は組合がコーヒーショップを出しています。現在はメキシコ市含め4店舗経営。
日本でいう六次産業化です。栽培~焙煎~ショップでのコーヒーの販売。
そのために「コーヒーの学校」を運営。
こちらは<解放の神学>の影響を受けた神父?たちの支援があります。
- 私自身のこと。早稲田大学を卒業後、エイジアン・グッナビルナール?に影響を受け、
1978年から3年間メキシコの大学に留学し、経済学を学びました。アメリカの経済学とマルクス経済学の両方。マルクスの『資本論』を原語で読みました。
★Y質問「フェアトレードのプレミアム(還元金、奨励金)への考えは?」「現在の様子は?」
A.ボクはプレミアムには反対です。価格に含めて、自由に生産者に使わせたいという考え。
A.私の大学の定年でFTPは解散です。800家族でスタートし、300数十家族と減り、現在は600家族がマヤビニックコーヒーの生産者です。
卒業生の杉山が「豆乃木」を立ち上げ、継続して現地と付き合っています。現地や流通、コーヒー豆の具体的な事柄は彼女に聞くと判ります。
杉山が扱うコーヒー豆はみな有機栽培です。Sコーヒーはトランジットで、目下有機栽培認証取得帰還3年期間のトランジットです。
★ST質問「マヤビニックの味は豊かな土壌で育つコーヒー豆だと予想しますが実際は?」
「マヤビニックコーヒーのキャッチコピーを教えてください。」
- 僕は「おいしいコーヒーにはワケがある」と言っています。3つの要素があり①完熟した豆を手摘みする②育つ土壌がいいこと③焙煎までの加工過程がキッチリしている、です。
杉山の扱う豆はフルウオッシュで、収穫後12時間から24時間水槽入れて発行させますが気温調整も必要で細やかな作業です。(摘んだ豆を乾燥してから果肉をむくやり方もあります。他に収穫すぐ果肉をむくやり方です。)
- 産地限定のブレンドしないコーヒー豆を「シングルオリジン=一つの産地」と言います。ブレンドは僕は増量剤と呼んでいます。
(シングルオリジンを可能にするのは)マヤビニックの産地のチアパス高地が火山灰台地だから。
★最後に山本先生から
・雇用なしで生きる
・地獄への道は善意で舗装されている
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フェアトレードはやっぱり面白い!
反グローバリズムの運動の唱える「連帯経済」という言葉、連体という手垢のついた言葉に血を通わす運動でもあるという。まだまだ知らないことがいっぱい。トルティーヤを学祭で売ったという愛教大の人にサパティスタ運動も勉強したら….と提案。