?ユニクロとグラミン銀行 バングラで合弁会社?
2010/07/14ちょっと驚きました。さすが世界に目を向けていると、ユニクロ社長さんは、見えてくるものがあったのでしょう。
ヨーロッパへ行けば必ず聞かれるのが「あなたの会社のCSR(企業の社会的責任)は?」だそうです。
「その国にとって本当にいい企業でないと生き残れない。バングラデシュには大きな市場になる可能性がある」と今朝の中日新聞。他の新聞によれば(多分毎日)労働者の環境を良くすることが第一ではないかというような質問に、柳井正会長兼社長は「一部の受益に終わるのはいけない」というような発言。
5月29日愛知県国際交流協会で見た「バングラデシュの衣料工場で働く女工たち」のドキュメンタリー映画を思い出した。
貧しいがゆえに、農村から都会にでてきて、わずかな給料しかも労働時間は長く、トイレの時間もままならないような環境の悪さのなかで、田舎への仕送りもあり栄養状態が良くない。ゆえに30代以上の女工達は消えていく。体をこわしてしまうようだ。
バングラデシュの工場主は、ユニクロのような大手との取引のなかで、労働条件を良くしていたら取引は難しいはず。
ユニクロは、情報を流すのが上手だと思う。5~6年前だったかもしれない。「アエラ」に写真入りで中国のユニクロの衣料工場が清潔な設備と共に掲載されていた。昼食をとるところも、日本の社員食堂のような感じ。就職希望者の列も写していた。でもそれが中国のどこの場所かは明記されていなかった記憶。ある人は、その工場の下に孫やひ孫の工場があるのだと言っていた。
映画「女工哀歌(エレジー)」は中国の貧しい農村から出てきた平均年齢14歳くらいの女の子たちがベッドのある7~8人部屋で暮らし、そのベッドに腰掛け昼食のどんぶりのような物を食べていた。納期が迫れば、徹夜も続く。それでいて給与の遅配はある。そんな境遇のなかで作られたジーンズがアメリカでは「安売り!」として並べられていた。そんな場面で終わったような記憶です。
ユニクロが本当に、労働者含めてバングラデシュでいい企業になってくれたのなら、私も嬉しい。しかし、往々にして、大きな会社は広報がとても上手で、片手でいいことをして、片手ではたいているかもしれない。
先進国が、途上国に援助の手を差しのべながら、もう一方の手で途上国の人が生活出来ないような世界の貿易や社会システムでは、援助している額と搾取している額と似ているようです。
ユニクロさんが、本気でバングラデシュの国のことを考えてくれたのなら、(柳井さんの手腕なら可能ではないかと思う)それはすごいことだと思う。これからだね。情報を見守り、本気なのかポーズなのか見分けることは。消費者としてそれは大切。消費者が会社を育てる。現にヨーロッパで必ず聞かれる質問は「あなたの会社はどんなCSRをしていますか?」ということですから。日本ではどうでしょうか?
以下は「ユニクロとグラミン銀行バングラで合弁会社」の内容記事です。
アサヒ・コムより
カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは、ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏が総裁のグラミン銀行と協力して合弁会社を設立する。バングラデシュで貧困などの社会問題に取り組む「ソーシャルビジネス」(社会的事業)を新たに始める。13日午後に発表する。
ファーストリテイリングはバングラデシュに工場があり、重要な生産拠点となっている。同国はアジアの最貧国の一つとされ、貧困対策が課題。現地の人を通じて同社の衣料品を販売する仕組みをグラミン銀行とつくり、市民の自立や起業を促す。
同社は世界展開を進めており、柳井正・会長兼社長は「グローバル化していくなかで相手の国にプラスになる企業でなければ、その国に本当に根付くことはできない」として、社会的事業に乗り出す考えを示していた。
★今日のFLOのニュースで大手のチョコレート会社のキャドバリが、フェアトレード認証「キャドバリーデイリーミルク」が日本で販売開始とありました。以下の内容。
『キャドバリー・ジャパン株式会社は、国際フェアトレードラベル機構(FLO)が定める国際フェアトレード基準
に従い認証を受けたチョコレート製品「キャドバリーデイリーミルク」(50g/100g)の販売を2010年7月以降
順次開始しました。
「キャドバリーデイリーミルク」のフェアトレード認証製品は、日本に先駆けてイギリス、アイルランド、オー
ストラリア、ニュージーランド、カナダですでに販売されています。フェアトレード認証「キャドバリーデイリー
ミルク」が日本を含む世界各国で販売されることで、ガーナでフェアトレードとして取引されるカカオの輸出
量が、従来の4倍に増加します。』
このように大手企業がフェアトレードに参入することは、生産者にとって大きな影響、いい影響を受ける人が増えます。認証ラベルの良さは、企業を巻き込むことにあると思います。
がしかし、一方の提携ラベル(WFTO)の運動と両立して進めていかなければ、本当の意味での人間らしく誰もが生きることのできる世界にはならないと思う。
今日のユニクロのニュース、キャドバリーのニュースと社会は動いていると感じました。一人一人の意識の変化が(日本は遅れていますが)このように企業が変わらざるを得ないように動かしたのだと思います。